介護保険制度は、利用者が必要としているサービスでも、生活状況により保険適用外になる場合があります。
①では、健康な同居家族がいる場合の生活援助についてお話しましたが、今回は、独居であっても、保険適用とされない生活援助についてです。
ヘルパーができる生活援助の目安は、「本人に直接かかわることで、本人では行うことが困難で、それがなされないと日常生活に支障が生じること」に限られます。
たとえば、
・換気扇の掃除、キッチンの排水溝の掃除、ベランダの掃除、床のワックスがけなどの大がかりな掃除
・庭の掃除、植木の水やり、草むしり、ペットの世話などの利用者の日常に必要でない支援
・手の込んだ料理、おせちなど特別な料理
・嗜好品の買い物
などは、基本的に認められません。
いくらご本人が「私は毎日3時間かけて手料理を作っていた」と言っても、ヘルパーのサービス提供時間を考えれば、認められないことは明らかです。
また、「私が毎日犬の散歩をしていたんだから、できなくなったら代わりに散歩に連れていくのは必要なことでしょう」と言っても、犬のお世話は本人へのお世話ではありません。
介護保険のヘルパーは、高齢者が自立した生活を在宅で継続するために、介護保険で必要と認められた支援を行うことが大前提であり、家政婦さんのように、何でもやってくれる便利屋さんではありません。
ですから、ご本人にとっては「日常的な家事」だったとしても、それが世間一般的に「日常的」と認められない場合も多々あるのです。
もし、どうしても「日常生活に必要とされない家事」を必要とする場合は、全額自費でヘルパーにお願いすることはできます。
介護保険法に、「これらの行為をやってはいけない」と、具体的に禁止されているわけではありません。
そのため、ヘルパーができることと、頼んでもできないことの区別は、自治体によっても、事業所によっても異なる場合がありますので、ケアマネジャーや自治体に確認することが大切です。
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