介護保険の居宅サービスと地域密着型サービスの各サービスは施設生活で提供されるものを除き、要介護度により1ヶ月に利用できるサービスの量が決められています(区分支給限度基準額)。
認知症と診断されても、体が元気であれば、介護度はさほど重くならない場合が多く、保険が使える区分支給限度基準額も低い設定となり、それを超えるサービス利用はすべて自費になります。
ヘルパーの訪問日に約束を忘れて徘徊していることも珍しくありません。連絡を受けた家族はヘルパーに捜索をお願いしますが、その時間はすべて自費になります。居宅外のサービスであるうえに、ケアプランに位置付けられていないため、訪問介護として算定できないのです。訪問介護サービスのキャンセル料を支払わなければならない時もあります。
離れて暮らす家族は、見守りも兼ねて、ヘルパーに朝昼夜の3回、調理などの訪問介護を毎日お願いします。訪問リハビリや福祉用具貸与なども利用していると、限度額を超える費用が月に多く発生してしまいます。
通院介助についても、家族が同行できず、ヘルパーに同行をお願いすると、1回で1万円を超える請求がくることがあります。通院介助においても、自費が大部分で発生するということが意外と知られていないのです。
その後、自宅での生活が困難となり、グループホームへ入所すると、食事代や部屋代等の保険適用外の費用の負担が大きく、月に20万円程度の支払いが必要です。
このようなケースは珍しくなく、さらに増えていくと思われます。
2025年には、認知症高齢者の人数は700万人になり、2012年当時の1.5倍とも言われています。自分のこと、家族のことについて、もしもの時を想定した備えが必要です。
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