介護保険制度は、利用者が必要としているサービスでも、生活状況により保険適用外になる場合があります。
その一例として、利用者が健康な家族と同居している場合の生活援助があげられます。
「生活援助」とは、高齢者本人や家族が家事を行うことが困難な場合、ホームヘルパーが利用者のもとへ伺い、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助を行うことをいいます。
「生活援助」を提供できるのは、援助を必要とする利用者本人に対してのみとなっています。
「ついでに、家族の分も洗濯してほしい。」「家族の分まで多めに調理をしてほしい。」などは、介護保険制度上認められません。
「夫の下着くらい、ついでに洗ってくれたっていいじゃない」「1人分だけ調理するなんて不経済だ」「今日は孫が遊びにくるからリビングも片づけてほしい」
そう思われることはごもっともですが、家族の分の洗濯、家族の分の調理、本人が使っていない部屋の掃除は、介護保険制度のルール上、ヘルパーに頼むことはできません。
たとえ妻が倒れて要介護になり、夫はまったく家事ができなくても、夫は自分のことは自分でしなければならないのです。
しかしながら、利用者本人に対してのみというサービス提供への線引きが困難となり、「同居家族がいる場合の生活援助は、介護保険制度では基本的にはできない」とする自治体が増えました。
家族が日中仕事で留守にしていても、利用者の昼食は仕事に出かける前に準備できますし、掃除や洗濯も、家族が在宅中に行うべきとされています。
家族が対応できない場合は、配食サービスを利用したり、自費でヘルパーを雇ったりしなければなりません。
なお、自治体によっては、同じ敷地内や同じマンション、近隣に住む場合でも、同居とみなされる場合があります。
「家事サービス」的な生活援助は、独居や老々世帯など、近隣に支援者もなく、そのうえで炊事や洗濯といった、生活上最低限の支援を必要とする人たちが利用できるサービスだと考えなければならないのです。
この記事へのコメントはありません。