先日、電車に乗っていた時に、立っている私の前に座っていた女性2人の会話が聞こえました。
「老後に苦労したら生活保護を受けたらいい。」
「年金もらうより得だよね。」
思わず口を挟みそうになってしまいましたが、生活保護はそんなに簡単に支給されるものではありません。
ありとあらゆる手段を講じても、生活が成り立たない場合に生活保護が支給されます。
当然のことですが、低収入であっても、次のように生活保護が受けられない場合もあります。
⓵ 住んでいる家が持ち家の場合
いくら生活するのが大変だからといって、住んでいる家が持ち家だと生活保護が受けられない場合があります。
資産として見られ、それを売却したお金で生活をしてくださいということです。
中には、資産価値がないと判断される家は、例外とされる場合がありますが、住宅ローンが残っている家に関しては、資産価値の有無に関係なく、売却を進められます。
保護費からそういったローンを払うことは認められていません。
高齢者では、思い出深い家を手放すのが嫌で、生活保護の申請をしないでわずかな年金のみを頼り、爪に火を灯すような暮らしをしている人や、昔ながらの商店街で、売り上げも少なく、それでも店舗を手放すのが嫌で細々と暮らしている人もいるのです。
⓶ 預貯金がある場合
預貯金がある場合、例えそれが自分のものではなくても、名義が自分の名義になっていると生活保護の申請が通りません。
その預貯金を生活費にあて、いよいよ生活できなくなったらまた相談にきなさいということです。
ちなみに、生命保険も解約するように言われます。
生命保険は通院や入院などで保険金が支給されますが、これも収入とみなされるので、その金額分が保護費から引かれることになるのです。
そうなる前に、事前に解約を勧められるのです。
例え自分が受取人になっていなくても、自分名義や子供名義の生命保険は調査が入ることを覚えておく必要があります。
⓷ 車などの財産がある場合
車を所有している場合、持ち家と同じ理由で売却を勧められます。
ただし、タクシーの運転手や自営業、障害者が通勤用に使う場合は例外も適用される場合があります。
これは、仕事をしていても生活が苦しく、最低生活保障の金額に足りない分を生活保護でまかなっている人も中にはいるため、こういう特例が認められる場合があるのです。
⓸ 親族から援助が受けられる場合
自分達の生活が苦しくても、親族などから生活の援助がある場合は生活保護が認定されません。
離婚で母子家庭になった場合、別れたご主人から養育費や慰謝料がある場合も同様です。
ただし、生活の全ての面倒を見てもらえず、一部だけの援助しか受けられないのであれば、その金額を差し引いた金額が生活保護費として支給される場合はあります。
総務省統計局の調査によると、高齢者のいる主世帯について、住宅所有の状況は、持ち家が8割と最も多くなっています。
住宅を親から受け継ぐことができる方は、収入が少なくても大丈夫と安心しているかもしれませんが、住居費以外の生活費は確保しておかないと、サードライフ(健康ではなくなった老後)に突入した時点で手放さなければならなくなる場合が実際にありました。
将来を考えることは大切ですが、今から後ろ向きに考えるのではなく、前向きに自分が望む未来を考えませんか?
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