認知症はなってしまったら仕方ないと言える病気でしょうか

「昨夜食べたものが思い出せないんです!」
「先週会ったばかりの人の名前が思い出せません。」というような話をよく聞きます。
そして、みなさん「認知症になりかけているのでしょうか。」と心配されます。

物忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがあります。
前者は、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであり、ヒントがあれば思い出すことができます。本人に自覚はありますが、進行性はなく、また日常生活に支障をきたしません。
後者は、脳の神経細胞の急激な破壊により起こり、物忘れは物事全体がすっぽりと抜け落ち、ヒントを与えても思い出すことができません。本人に自覚はありませんが、進行性であり、日常生活に支障をきたします。

つまり、「昨夜食べたものが思い出せない」「先週会ったばかりの人の名前が思い出せない」は、加齢による物忘れです。
これが認知症による物忘れになると、「昨夜ご飯を食べたこと自体を忘れている」「先週人と会ったこと自体を忘れている」ことになるのです。

「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

認知症の原因の約6割を占めるアルツハイマー型認知症の発症に、生活を取り巻く環境の影響が大きく関わっていると分かってきました。
脳の状態を良好に保つためには食習慣や運動習慣を変えることが、認知機能を重点的に使うためには対人接触を行うことや知的行動習慣を意識した日々をすごすことが重要だと言われています。

運動すると、脳の神経を成長させるタンパク質が多く分泌され、記憶をつかさどる脳の海馬の維持・肥大に効果をもたらします。
また、青魚や野菜・果物などの抗酸化作用の高い食べ物の摂取や、地域活動や趣味の会などでの対人交流を増やすことも認知症予防に効果的です。

認知症は、介護を必要とする原因の第1位です。
2025年には、認知症罹患者数が700万人になると言われています。

なってしまったら仕方ないと、何もせずに過ごすのか、健康で少しでも長く充実した老後を過ごすために、今から予防を心がけるのか、あなたはどちらを選びますか?

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