入院した場合等、医療費が高額となった場合に、高額療養費が支給されることを知っている人は多いのですが、「高額介護サービス費」を知らない人が多いことが懸念されます。
高額介護サービス費は、利用者が同月内に受けたサービスの利用者負担の合計額(同一世帯に複数の利用者がいる場合は世帯合計額)が、利用者負担の上限を超えた場合、超えた分が支給される制度です。
高額療養費のように、1レセプトごとに計算するのではなく、1ヶ月に受けたサービス全ての利用者負担額を合計します。
【1ヶ月の利用者負担の上限】
※平成29年8月から一般区分の上限額が37,200円から現役並み所得者と同じ44,400円になりました。
1割負担者のみの世帯については、3年間の時限措置として年間上限額446,400円(37,200円×12ヶ月)が設定されます。
このため、先日もお伝えしましたが、8月から3割負担になる人全てが2割負担の時から1.5倍になるわけではありません。
例えば、ご夫婦で介護サービス利用されていて、ご主人が2割負担から3割負担になる場合
<夫>2割負担時:利用者負担3万円の場合 ⇒ 3割負担時:利用者負担4.5万円
<妻>1割負担時:利用者負担1万円の場合 ⇒ 1割負担時:利用者負担1万円
<夫婦> 利用者負担計4万円 ⇒ 利用者負担計5.5万円
この場合、ご主人は、一旦は3割負担になる料金(4.5万円)をサービス業者に支払わなければなりません。
ですが、高額介護サービス費(上限44,400円)に世帯で該当し、約4ヶ月後に10,600円が利用量で案分され、夫婦それぞれに還付されます。
つまり、3割負担になっても結果的には4,400円だけ負担が増えることになります。
さらにサービスを増やすことになっても、利用限度額以内であれば、増えた料金分は全て還付されます。
高額介護サービス費に初めて該当した人には、対象となった月の3ヶ月後以降に市区町村より申請書が送付されます。申請は原則として、一回行えば大丈夫です。
利用者もサービス事業者もケアマネジャーもこの制度を知らず、負担が増えるからと、必要なサービスを不要に減らすことが懸念されます。
介護にかかわる人全てが、制度を正しくご理解いただき、利用者が必要なサービスを適正な負担で安心して利用いただける社会になることを願います。
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