完治する可能性の低い病気になったときは、誰にとっても大きな衝撃です。
特に子育て中の方にとっては、自分の病気や治療に加え、子どもに与える影響や、子どもの世話をどうするか、そして病気を子どもに話すかどうか、話すとしても何をどこまで話したらよいか、誰もが悩みを抱えることになります。
〇 子どもをケアの輪に入れ、サポートしていくことが重要です
「心配させたくないから子どもには黙っておいた方がよい」という考え方もありますが、子どもは、いつもとは違う何かが起こっていることを敏感に感じ取ります。
そして、何も知らされないことによって、一人で実際以上に悪い想像を膨らませ、より大きな不安感を抱えてしまうこともあります。
子どもに分かりやすく伝え、安心感や信頼されている気持ちを持ってもらうこと、また、子どもに感情表現できる場を作ってあげることは、子どもの心を落ち着かせるとともに、自分自身も隠し事をなくすことで、不要なストレスを感じることなく治療に専念することができます。
家族の一員である子どもをケアの輪の中に入れ、サポートしていくことが、自分のサポートにも繋がるのです。
〇 子どもへ伝えるときは焦らず様子を見ながら話しましょう
話すときは、落ち着いて話せるタイミングと、静かな場所を選びます。
「お母さんがお薬飲んでるの知ってる?」
「お母さんの病気、何かわかる?」
「お医者さんに言われたこと、○○ちゃんにもお話しするね。大事な家族だから。」
などと話し始めてみてはどうでしょうか。
子どもの集中力が途切れてきたり、「聞きたくない」などの拒否反応があったりしたら、話すのを止め、「聞きたくなったら言ってね」と伝えましょう。
年齢によって理解力や集中力は異なります。子どもの様子を見ながら、焦らず少しずつ話していきましょう。
〇 子どもが自分のせいだと思わないように伝えてあげましょう
自分の病気は「誰のせいでもない」ことをしっかり伝えてあげることが重要です。
年齢の低い子どもほど、「自分がいい子じゃないから、お母さんが病気になってしまったんだ」と思い込む傾向があります。
思春期の子どもでさえ「自分が迷惑かけたから免疫が低下して病気になった」など、自分を責めることがあります。
病気は誰のせいでも、何かをしたから、あるいは何かをしなかったからなるわけではないことをきちんと知らせ、子どもが自分のせいだと思わないようにしてあげましょう。
〇 病名を伝えましょう
「病気」という曖昧な言葉を使うと、子どもは独自の考えや想像を働かせ、より大きな不安や混乱を引き起こすことになりかねません。
「がん」や「認知症」という言葉を使って、風邪のようにすぐ治る病気とは違うことを伝えることも大切です。
子どもの年齢や理解力によりますが、病気の説明や、生活への影響などもしっかり伝えていきましょう。
また、伝染する病気ではないことを説明しましょう。
「自分も同じ病気になるのかな」という不安を取り除いてあげることが大切です。
〇 誠実に、できる限り具体的に子どもの質問に答えましょう
「死なない」という約束ではなく、そうならないことを強く願っており、そうならないために頑張って治療を受けていることを伝え、子どもからの質問には、誠実に、できる限り具体的に答えましょう。
治療内容を説明するときも、正しい言葉を使いながら、子どもでもわかるようにたとえ話を交えて説明しましょう。
〇 子どもを取り巻く人たちみんなで守っていきましょう
治療中、誰がどんなサポートをしてくれるのか、子どもは不安になります。
「ご飯はおばあちゃんが作ってくれるよ」
「お迎えは○○ちゃんのママが来てくれるからね」
「心配なことがあったら先生に言っていいんだよ」
と、いつもと同じような生活ができることを説明しておきましょう。
場合によっては、選択肢を与えて、子ども自身に選ばせることも出てくるかもしれません。
これから起こりうる問題について、一緒に考えながら対処していくことが大切です。
また、親以外の人間関係も子どもの支えになるため、友人、先生、親戚など、子どもを取り巻く人たちにサポートをお願いし、みんなで子どもを守っていきましょう。
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