平成28年から平成29年にかけて、公的保険に関する改正(特に社会保険関係の改正)が多くありましたので振り返ってみましょう。
平成28年10月:労働参加の促進と年金水準の確保等のため、501人以上の企業について、短時間労働者への被用者保険の適用拡大
平成29年 4月:500人以下の企業についても、短時間労働者への被用者保険の適用拡大
平成29年 8月:老齢年金の受給資格を従来の25年から10年に短縮
平成31年4月からは、次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障することとされました。対象者は、年間20万人と見込まれています。
産前産後期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間とされていますが、多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間です。
対象となる方は、「国民年金第1号被保険者」で出産日が平成31年2月1日以降の方です。
この財源として、国民年金保険料を月額100円程度引き上げ、国民年金の被保険者全体で対応することとされています。
平成30年度月額16,340円の国民年金保険料は、平成31年度には16,410円になります。
育児休業中の保険料免除は、平成6年の改正によって導入されました。
その当時は、被保険者負担分のみの免除でしたが、平成12年になって事業者負担分も免除となり、その後平成24年には、産前産後期間の保険料も免除となりました。
働きやすい職場環境の確立に向けて次第に拡充されていることがわかりますが、自営業などで働く第1号被保険者の社会保障は課題とされていました。
国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除は、国民年金に関するものであり、財源が自治体にある国民健康保険には適用されません。
年金も健康保険も免除される社会保険との格差是正へは当分時間がかかりそうですが、それでも今回の改正は大きな一歩になると期待されます。
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